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ビッグ・エー社長のつぶやき

霊長類最強?2018.12.03.Monday

 先日、京都大学総長で霊長類学者・人類学者でゴリラ研究の世界的権威として知ら

れる山極寿一教授のご講演を拝聴する機会がありました。

とても感銘を受け、著書である『ゴリラからの警告~人間社会ここがおかしい~』

も読ませて頂きました。

 

 この本は、私たちも属する霊長類のゴリラやサルの社会とを比較し、昨今の人間社

会の変なところをあぶり出しつつ、解決策を考えていくという内容です。

 毎日新聞のコラム「時代の風」を拡充したもので、

 「ぼっち飯と建売住宅が人をサルにする」

 「人間以外サル真似はできない」

 「現代日本の民主主義はゴリラ以下」

 「AIさえあれば生きていけるのか」

 「仲間を見つめるゴリラ、スマホを見つめる人間」

など、身近なテーマの中に「はっ」とさせられるところが盛り沢山でした。

 

 「人々の信頼でつくられるネットワークを社会資本という。何か困った問題が起

 こったとき、ひとりでは解決できない事態が生じたとき、頼れる人々の輪が社会

 資本だ。それは互いに顔と顔を合わせ、時間をかけて話をすることによってつく

 られる。その時間は金では買えない。人々のために費やした社会的な時間が社会

 資本の元手になるのだ。

  私はそれを、野生のゴリラとの生活で学んだ。ゴリラはいつも仲間の顔が見え

 る、まとまりのいい10頭前後の群れで暮らしている。顔を見つめ合い、しぐさ

 や表情で互いに感情の動きや意図を読む。人間の最もまとまりのよい集団のサイ

 ズも10~15人で、共鳴集団と呼ばれている。サッカーやラグビーのチームの

 ように、言葉を用いずに合図や動作で仲間の意図が読め、まとまって複雑な動き

 ができる集団である。これも日常的に顔を合わせる関係によって築かれる。言葉

 のおかげで、人間はひとりでいくつもの共鳴集団をつくることができた。でも、

 信頼関係をつくるには視覚や接触によるコミュニケーションに勝るものはなく、

 言葉はそれを補助するにすぎない。」

 

 「700万年の進化の過程で、人間は高い共感力を手に入れた。他者のなかに自

 分を見るようになり、他者の目で自分を定義するようになった。ひとりでいても、

 親しい仲間のことを考えるし、隣人たちの喜怒哀楽に大きく影響される。ゴリラ

 以上に、人間は時間を他者と重ね合わせて生きているのである。仲間に自分の時

 間をさしだし、仲間からも時間をもらいながら、互酬性にもとづいた暮らしを営

 んできたのだ。幸福は仲間とともに感じるもので、信頼は金や言葉ではなく、と

 もに生きた時間によって強められるものだからである。

  世界は今、多くの敵意に満ちており、孤独な人間が増えている。それは経済的

 な時間概念によってつくりだされてものだ。それを社会的な時間に変えて、いの

 ちをつなぐ時間をとりもどすことが必要ではないだろうか。ゴリラと同じように、

 敵意はともにいる時間によって解消できると思うからである。」

 

 家族の形態が崩壊しつつあると言われる昨今、インターネットとひとり飯の時代

が進み、山極教授は人がゴリラ化ではなく、サル化していっていると捉えられてい

います。人間特有の共感能力を使わずとも済む社会、それは信頼関係を築く力を低

下させ、結果として、組織の外の者は敵であるという構図、閉鎖的な社会をつくっ

ていっていると警笛を鳴らされています。

 また、安全・安心という言葉をよく耳にしますが、そもそも安全と安心は似て非

なるものであり、安全は技術であって、安心は人の心がもたらすもの。安心は、決

してひとりで得られるものではないと認識しておく必要があるということです。

 不安で覆われた社会は安心ではなく、どれだけ技術革新によって安全なシステム

が整ったとしても、それがイコールで安心な社会をもたらすというわけではなく、

人と人とのつながりが希薄化してきている人間社会を危惧されています。

 

 この他にも、現業にも繋がるような人財育成、マネジメント、リーダーシップ、

組織のあり方についても示唆に富む内容が満載でした。

 特に、現代における人と人との信頼関係、他者との共感の大切さを深く考える機

会を与えて頂き、老若男女を問わずより多くの方に読んでもらいたい一冊です。