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ビッグ・エー社長のつぶやき

戦争体験と経営者2019.08.12.Monday

先日、尊敬する経営者のお一人から、立石泰則著『戦争体験と経営者』を手渡されま

した。179ページと分厚くないのですが、戦争の酷たらしさと悍ましさが凝縮され、

平和の尊さについて深く考えさせられる重厚な一冊でした。

 

作者の立石泰則氏は、ノンフィクション作家、ジャーナリストとして活躍してこられ、

千人以上の経営者にインタビューや取材を重ねられてきました。

振り返って、経営理念や経営手法も全く異なる個性豊かな経営者にあって、それぞれ

の間に「明確な一線」を引ける何かがあるのではないかと思ったそうです。

それが、「戦争体験」の有無。

もっと言うと、自ら戦地に赴いた経験があるか、実際に戦場に立ったことがあるかの

有無が、経営者を超え、その後の人間としての生き方、営みに決定的な影響を及ぼし

たのではないかと推察されています。

 

第一章『戦地に赴くということ』では、セゾングループ創始者の堤清二氏とダイエー

創業者の中内功氏を比較し、当時ライバル視されてきた二人について実際に戦地に赴

いた経験があるか否かでその後の人生、考え方、言動、企業経営における意思決定に

どのような違いが生まれたかを説かれています。

末尾の「戦争とは何かと問われたとき、老人が始めて貧しい若者が死ぬゲームという

言葉があるが、そのことを実感として受け止めるためには戦争体験者が語る言葉がい

まはもっとも必要な時ではないだろうか」はとても感慨深いものでした。

 

第二章『日本軍は兵士の命を軽く扱う』では、ケーズデンキ創業者の加藤肇氏の体験

から、日本軍の無謀な戦いぶり、戦争ほど悲惨で残酷なものはないということが伝わ

ってきます。

 

第三章『戦友の死が与えた「生かされている」人生』は、ワコール創業者の塚本幸一

氏の戦争体験から、戦地から戻ってきた人たちに共通する「なぜ自分だけ生き延びた

たのか?」、多くの戦友の死を目の当たりにし、自分は卑怯未練で生き残ってしまっ

たという後ろめたさを心に抱きながら戦後生き抜いてこられたことが記されています。

 

第四章『終わらない戦争』では、経営者に限らず立石泰則氏が強いショックを受けた

戦争体験に関する多くの方の証言が載せられていました。

 

そして、『おわりにかえて』にある「戦争は、ひと握りの狂信的な好戦家たちによっ

て引き起こされるものではない。程度の差こそあれ、多くの国民が戦争を望んだから

始まったのである。なぜ、多くの国民が戦争を望むのか。それは、貧しさからだ。貧

しさがひどくなればなるほど、そこから逃れるために他国や他者を傷つけることを躊

躇わなくなるものだ。その意味では、人間はとても弱い生き物である。つい自分さえ

良ければ、他人はどうなってもいいと得心してしまう」は誰もが肝に銘じておかなけ

ればならないとことだと思いました。

 

『失敗の本質~日本軍の組織論的研究~』と同様に戦争がいかに愚かで卑劣極まりな

いものなのか、平和がどれほど有り難いものなのかを痛感させられる内容で、憲法改

正論議が取り沙汰される今だからこそ、この本を読む価値は高いと感じました。