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社長のつぶやき

2018年2月20日

ココロの盲点

『自分では気づかない、ココロの盲点』という名著があります。

脳研究の第一人者で、東京大学大学院薬学系研究科の池谷裕二教授が

脳の癖(認知バイアス)についてドリル風に解説された本です。

 

例題 ~こだわりの店~

 醤油ラーメンが食べたくなりました。たまたま近くに繁盛している

 ラーメン屋があり、さっそく行列に並びました。

 ところが、その店は塩ラーメンで有名なようです。周りの人たちも

 塩ラーメンを注文しています。

 このとき、どちらの行動をとる人が多いでしょうか?

  ①当初の希望通り醤油ラーメンを注文する

  ②看板メニューの塩ラーメンを注文する

 

例題 ~ペットのしつけ~

 鳩の実験です。ブザー音が鳴ったらスイッチを押すと餌が出てくる

 という装置に鳩を入れます。すると、鳩は正しいタイミングでスイ

 ッチを押して餌を得るようになるそうです。

 そこで、音やスイッチに関係なく、あるとき突然に餌が出るような

 仕掛けにしてみます。さて、鳩はどうしたでしょうか。

  ①じっと餌を待った

  ②不思議な踊りをした

 

例題 ~有害物質~

 一酸化二水素という化学物質をご存知でしょうか。

 水素の一種で、常温では液体です。無味無臭ですので、溶媒や冷却

 剤などに広く用いられています。

 悪影響もあり、ときに重度の火傷を引き起こします。多量に摂取す

 ると健康に重篤な障害が現れ、死に至ることもあります。

 水道水にも多く含まれていますが、日本の水道水質基準には、現在

 この物質の規制はなく、成分として記載されることはありません。

 そこで、一般消費者に「一酸化二水素の含量を規制すべきか」とい

 うアンケートをしました。次のどちらの答えが多かったでしょうか。

  ①一酸化二水素は規制すべき

  ②一酸化二水素は規制しなくてもよい

 

このような例題が30問あり、それぞれにわかり易い解説が載ってい

ます。充実した内容に加え、最終形に落ち着くまでに5年を要したと

いうだけあってイラストや装丁にも工夫が施されており、読んで楽し

く、飾ってお洒落な絵本のような仕上がりです。本体価格も880円

とコストパフォーマンスも極めて高い一冊です。

 

そして、答えですが、ラーメン屋さんの例題は、「②看板メニューの

塩ラーメンを注文する」だそうです。

私も塩ラーメンを注文してしまうだろうと思ったのですが、みんなが

そうするから、みんながそう言うからと、人は周囲の意見に影響され

やすいもので、これをバンドワゴン効果と呼ぶそうです。

また、解説には「みんな、○○している」や「みんな、○○を持って

いる」というような時の「みんな」とは、具体的には3人からそうな

るのだとありました。「いつも○○だ」や「どこも○○だ」についても

3個以上揃うと、人は一般論のように言い出すのだそうです。

 

次の、鳩の餌についての例題は、「②不思議な踊りをした」が答えだ

そうです。

突然餌が出てきて、原因がわからないと、脳は「法則」を探したくな

り、たまたま餌を得たときにとっていた姿勢を、餌を得られた理由だ

と勘違いし、その時の姿勢を繰り返すようになるそうです。実験では、

クルクルと回ったり、頭を振ったり、鳩によって様々な「儀式」を行

うようになったそうです。

人間でも、脳は数少ない体験を法則化しようとしがちで、偶然の出来

事が2、3回重なると「次もきっと・・・」と一般化したい感情を抑

えるのが難しくなるようです。そして、ここから「迷信」や「験かつ

ぎ」といった「儀式」が生まれてくるのだそうです。

このように、例外かもしれない少数のサンプルの調査結果から「一般

則」を導いてしまう傾向を「少数の法則」「サンプルサイズに対する

鈍感さ」と呼ぶそうです。

私も、小学生の頃から靴や靴下、ズボンも左足から履くのですが、な

ぜだったかすら思い出せません。

 

最後の、一酸化二水素の例題の答えは、「①一酸化二水素は規制すべ

き」が多かったそうです。

一酸化二水素とは、「H₂O」ですので「水」のことです。同じ事象の

説明でも、科学用語を用いられると、人の反応が変わるという事例だ

そうです。

科学者のコミュニティでは、チンプンカンプンでも専門用語があるだ

けで説得力が高まること、名称が付されているだけで妙に腑に落ちて

しまうことを、「ジンクピリチオン効果」と呼ばれているそうです。

 

この本を読むと、自分の思考の浅はかさや単純さ、非論理的なところ

の図星を指されている感じがして、少し恥ずかしい思いになります。

ただ、著書の云う、「自分を知ると謙虚になれる」「人はみな偏屈です。

脳のクセを知れば知るほど、自分に対しても他人に対しても優しくな

れます。それがこの本の狙いです」というのがわかるような気持ちに

もなってきます。

やはり、名著だと思います。

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