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社長のつぶやき

2018年1月22日

ナハ ナハ ナハ

相田みつをさんの『にんげんだもの』をこよなく愛するのが、以前にもご紹介

させて頂いた行動経済学者で昨年ノーベル賞に輝いたシカゴ大学のリチャード・

セイラー教授です。

セイラー教授の研究室のドアには“I’ll do it later. I’ll do it later. And while I make

my excuses. The sun goes daown.”と相田みつをさんの「そのうち そのうち

べんかいしながら 日が暮れる」という詩が貼られているそうです。

伝統的な経済学では、「人間」はいつでも自分が得するように合理的な判断を

下すとういう前提となっていますが、セイラー教授は、実際に生身の「人間」

は衝動買いやギャンブルといった非合理的な行いもする、この人間らしさが経

済に影響を及ぼすとの考え方で、経済学に心理学を反映させたのが行動経済学

であるとのことです。

 

この行動経済学をもう少し勉強してみようと題名に惹かれて『やさしい行動経

済学』(日本経済新聞出版社/本体800円+税)を読んでみました。

日経「経済教室」に連載されたシリーズをまとめたもので、とても読み易かっ

たのですが、行動経済学だけでなく幸福論、倫理観、男女の行動の違い、差別

と偏見など人間の心のメカニズムについて、とても重厚な内容でした。

 

京都大学依田高典教授の「経済学とこころはどう付き合ってきたか」の章には、

現実の意思決定と最適な意思決定との間に乖離が生じる原因、バイアス(偏り)

の法則性について書かれていました。

特に代表的な2つのバイアスが、目先の利益を優先してしまう現在性バイアス

とわずかなリスクでも回避しようとする確実性バイアスです。

将来にとっていいことだとわかっていても、つい目の前の誘惑に負けてしまい

悪習を断つことができないのが現在性バイアスで、わずかなリスクを嫌って目

の前のチャンスを逃してしまうというのが確実性バイアスです。この2つのバ

イアスによって変化を過剰に嫌う現状維持バイアスが出てきてしまうというこ

とでした。

この現状維持バイアスは、個人に限ったことでなく、人間の集合体である企業

や組織にも通ずるものだと思いました。外部環境が猛スピードで激変する状況

下において、これは自社でも十分注意しなければいけないと痛切に思いました。

 

セイラー教授の発想は、人間はだらしなかったり、短絡的だったりと決して合

理的じゃないからこそ、その人間らしさを前提に『ナッジ(小さな誘導・肘で

軽くつつく)』によって世の中を良く変えられるというものです。

例えば、男子トイレの小便器に貼られているハエの絵で、ハエを狙いたくなる

という人間らしさがトイレの清潔を保ちます。このハエの絵のような小さな工

夫が『ナッジ』といわけです。

この『ナッジ』は、既に米国の年金加入や英国の納税、日本の二酸化炭素排出

量削減などにも応用され成果を上げていてるとのことです。

 

ITやAIの急速な進化を痛感するだけに、改めて『にんげんだもの』の重要

性を行動経済学を通じて再確認できたように思います。

そして最後に、セイラー教授はスウェーデン王立科学アカデミーによるノーベ

ル賞授与発表後の電話会見でこう述べられたそうです。

「ノーベル経済学賞の賞金は、できるだけ非合理的に使おうと思う」

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