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2020年2月12日

ハーメルンの笛吹き男

先月、日本経済新聞の書籍評論「ベストセラーの裏側」に『ハーメルンの笛吹き男』

(阿部謹也著)という本が紹介されていました。

原著出版から45年も経って再ブームとなっているそうで、とても興味が湧いたの

ですが、その時は他に読みたい本が何冊かあったのでスルーしてしまいました。

それが、つい先日、東京駅で乗り換えの合間に構内の書店を覗いた際、平積みされ

ている『ハーメルンの笛吹き男』が目に入り、読んでみたところ期待を超える面白

さでした。

 

日本では鎌倉時代、1284年6月26日に中世ドイツの小都市ハーメルンで子ど

もたち130人の失踪事件が起こります。

当時、ハーメルンの街にネズミが大量繁殖し人々は悩まされていました。そこに色

とりどりの布の衣装をまとった男が現れ、報酬をくれるならばネズミを退治してみ

せると持ち掛けました。困り果てていたハーメルンの人々は、その男に報酬を約束

します。そして、その男が笛を吹くと、街中のネズミが男のところに集まり、男が

川の中に歩いていくとネズミは残らず溺死します。しかし、退治が済むとハーメル

ンの人々は男との約束を破って報酬を支払いませんでした。激怒した笛吹き男は、

6月26日のヨハネとパウロの日に再び街に現れ、男が笛を吹きながら歩いていく

と、130人の少年少女たちが後についていき、街を出て山の洞穴に入って二度と

戻ってこなかったという出来事です。その後、この事件はグリム童話をはじめ25

以上にも分類できる伝説となります。

 

この本は、この伝説の謎と、事件を下敷きにした伝説の成立過程を解き明かしてい

くものです。

展開としては、事件当時のハーメルン市が抱えていた社会問題とそれから伝説化し

ていく以後の社会環境変化、次に主人公である130人の子どもたちの当時の生活

やハーメルン市の市民階層問題、続いて、もう一方の主人公である笛吹き男の正体

に迫っていきます。

中世ヨーロッパ社会の差別問題が明らかになっていき、推理小説やサスペンス映画

よろしく、伏線回収していくような快感が味わえます。

 

この本が再ブレークしたきっかけは、版元の筑摩書房の営業担当者が、昨年の6月

26日の朝、通勤電車内でネット検索をしていて735年前の同日にこの事件が起

きたことを知り、軽い気持ちですぐさまツイートしたところ瞬く間に6千を超える

「いいね」がきたそうです。その後、半年間で3度重版、3万部増刷、31年前に

刊行された文庫本は累計36刷、15万3千部に達したそうです。

著者の際立った解析力と描写力、それになんといっても、一つの仕事に取り憑かれ

たようなもの凄い執着心を感じずにはいられませんでした。仕事とは、斯くあるべ

しと教えられた気がしました。

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