失われた38年?
38年前の今ごろ、高校1年生だった私は
学生服の内ポケットにラジオをしのばせて、
イヤホンのコードを腕に這わせて授業中に日
本シリーズを聴いていました。
その2年後の夏ごろから、私は受験勉強も
せず友人に誘われ甲子園球場でビールの売り
子をしていました。
その年の阪神タイガースは、投打どころか
ベンチとフロントも全くかみ合わず断トツの
最下位に低迷していました。
ビールを売っていて、タイガースのピッチ
ャーが打たれると阪神ファンから「お前のせ
いじゃ!」と怒られ、バッターが打てないと
また「お前のせいじゃ!」と怒鳴られました。
でもたまに、ホームランが出ると阪神ファ
ンのおっサンに抱きしめられ、チューを強要
されました。
私は、こんな大人にだけはなりたくないと
思ったはずなのですが、似たり寄ったりのお
っサンに成長しました。
その阪神タイガースが38年ぶりの日本一
に輝き、岡田監督の胴上げのもと、24番の
ユニホームも宙を舞っていた光景が印象的で
涙がこぼれました。
24番は、今年夏に死去された横田慎太郎
選手の背番号で、著書『奇跡のバックホーム』
を読むと阪神タイガースが本当に素晴らしい
球団であることがひしひしと伝わってきます。
阪神ファンでなくとも、野球好きでなくて
も是非手に取って頂きたい一冊です。
45年ほど前、チームに貢献した主力選手
でも少し陰りが見えるといとも簡単に放出し、
エース投手からは「ベンチがアホやから野球
がでけへん」とまで言われほど選手と球団と
の信頼関係が希薄だった阪神タイガースは大
きく変わりました。
まさに人本主義の経営に転換され、その集
大成が昨日の日本一だったのだと思いました。
40年越しの経営改革、とても勉強になっ
た阪神タイガースの今シーズンでした。
「そらそうよ アレよアレよと 日本一!」